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2015年4月27日 (月)

「内壁空洞を考える」 PAC工法資料より

PAC工法資料より引用

躯体内空間の主役 内壁空洞を考えるーその2
内壁空洞が温度差をなくす   ー田中慶明ー

その1では、内壁空洞がなぜ日本の木造住宅にとって命なのかを探りました。それは内壁空洞を中心とする躯体内空間に木造住宅の骨組み、すなわち土台や柱、梁などの構造材が存在し、365日24時間空気の流れに触れていることでした。

今回は、内壁空洞の冬期の役割について述べたいと思います。PAC住宅の内壁空洞は、温度センサーであり、ファンであり、配管ダクトであり、集熱また放熱部位であるというマルチな役割を果たしています。

エアサイクルの要が内壁空洞
PAC住宅の冬の空気の流れを表す言葉がエアサイクルです。これは、
Air Circulation(エアサーキュレーション)の日本語化です。昭和52年に筆者(田中慶明)が名付けました。外張り断熱された建物の躯体内空間を温度差によって空気が循環する様子を表現したものです。

この循環する空気の流れが、土台などの木材や建物全体の湿気の調整をし、又、躯体内空間の温度を均一にして、建物全体の温度差をなくしていきます。このエアサイクルを決定づけているのが内壁空洞の存在です。 


温度センサーとしての内壁空洞の空気

エアサイクルの役割のひとつが建物内の温度差を解消していくことです。これは躯体内空間の空気循環により行われるのですが、どうして温度が均一化していくのかを、まず探ってみましょう。
温度が均一になっていくためには、温度が高い部分から低い部分へと熱が移動しなければなりませんが、その前にPAC住宅は、温度センサーもないのに、どのようにして、躯体内空間のここは温度が高い、ここは低いと感知しているのでしょうか。
空気そのものを温度センサーにする、というのがPAC住宅の発想です。
空気は暖められると軽くなり上昇します。逆に冷やされると重くなり下降します。この性質を利用すると、内壁空洞の空気は立派な温度センサーになります。
内壁空洞は縦に細長い空間ですから、空気の上下の動きには都合よく構成されています。この内壁空洞の上端と下端を開放しておけば空気は自由に流れますから、この空気の動きそのものを温度センサーとするのです。
すなわち、何らかの影響で暖められている内壁空洞の空気は上昇し、冷やされている空気は下降します。それも、暖められるもしくは冷やされる程度によって上昇や下降の速度を変化させます。
冷たい所ほど大きく下降気流を生じ、暖かい所ほど上昇気流を生じます。
空気そのものの動きでは、温度が何℃かはわかりませんが、温度差に応じた上下の動きが、正確に生じます。この動きを温度センサーとして使うことは、機械設備を使用しないパッシブソーラーにぴったりと言えます。 


内壁空洞の空気それ自体がファン

温度の高い所から低い所へ熱を運ぶためには通常、ファンなどの機械設備に依存しようとしますが、PAC住宅では、内壁空洞の空気そのものを動力にしています。
内壁空洞内に温度差で発生している上昇下降の空気の流れそのものをファンの力にしています。
しかも、精妙な温度センサー付きのファンとなります。温度が高ければ高いほど、上昇する速度が早くなりより多くの熱を運びます。温度が低ければ低いほど、下降する速度も早くなり熱を運びます。


内壁空洞は方向指示器付き空気搬送のダクトでもある

PAC住宅の冬の機能の一つに、暖かい空気を冷たい場所に運び、冷たい空を暖かい場所に運んで全体の温度を均一にしていくことがあります。この搬送駆動力の役割も内壁空洞の空気そのものが果たしています。
建物全体に配置された垂直の内壁空洞が、水平の床下、ふところ、小屋の各空間を結び、一体となった躯体内空間が構成されています。この躯体内空間は、外側でしっかりと断熱され、冬は密閉された空間となります。
それぞれ高さの違う、床下やふところ、小屋空間の空気が混じり合うのもそれぞれを連通する内壁空洞の上下する空気の流れです。
さらに、床下や小屋などそれぞれの空間だけをとっても方位によって温度差がありますが、この温度差も各所に配置された内壁空洞の上下する空気の流れによって発生する建物全体を循環する空気の流れで解消されていきます。 

そして集熱また放熱部位という多機能さである

こうして内壁空洞を上下する空気が躯体内空間全体の空気循環(エアサイクル)を促し、温度差を解消していくわけです。
さらに、PAC住宅はすべての屋根面と壁面に集熱のための通気層を構築していますが、内壁空洞自身も集熱パネルの役割を果たしています。
太陽熱により暖められた室温は上昇しますが、その温度により内壁面も暖められて内壁空洞内の空気が暖められるのです。これは、立派に太陽熱コレクターの役割を果たしていると言えます。天井面も同様です。
さらに暖かさを住む人に感じさせる放熱部位としての役割があります。内壁の面ばかりではなく床面と天井面も同様の役割を果たします。空気循環(エアサイクル)によって、冷たい所がなくなり温度差が少なくなった内壁面・床面・天井面は、比較的低い温度でも住む人に寒さを感じさせないのです。
このように実に多用な働きをするのが、内壁空洞です。まさしく建築的手法によるパッシブな住宅の要です。 


PAC工法 冬モードのページ





 

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